B級グルメの愉しみ・田鰻(田ウナギ)編


師走も半ばに近づき年末だと言うのに、ここ台南の朝はあたかも春の朝のような匂いに包まれています。朝早くから寺廟は門を開けそこに花を売るおばさんたちが集まり至るところにある寺廟からは線香の香りが街中に漂いとても心が落ち着きます。
昨日は飛行機の緊急着陸もあり、到着が6時間以上も遅れ花園夜市もかえって逆に大勢の人は帰り始めたのでゆっくりと見ることができました。

蚵仔煎(牡蠣いりオムレツ)の旨さに涙!

やはり臭豆腐と蚵仔煎(オアジェン)は外せないので食べてみましたが台南独特の臭豆腐はかなり甘めの味付けがしてあり残念ながら僕の口には合いませんでした。
臭豆腐といえば毛沢東の大好物だったといわれています。ただし大陸で食べる臭豆腐と、台湾では別物のような気がします。先ず大体からして臭さのパワーがプロ野球と草野球の違い程あり、台湾のはとてもマイルドで食べやすくしてありますが僕にはやや物足りません。やはり大陸風の屋台の半径数十メートルに漂うあの何とも言えない異臭が(普通の日本人からして。。)たまりません、でも口に運ぶとかりっとした外皮、中味の豆腐のコクのある味、最後はまってしまいますね。台南のは特にマイルドかつ甘いたれがかかっていましたが、やはりこてこての白菜とニンニクの練り合わせが僕には正しい臭豆腐といえるようです。台北の夜市の屋台もそこそこでしたが四川省の成都で食べたのがもっとも強烈で印象的でした。

そうのこうので夜市ではけっこう遅くなりましたが、翌朝やはり5時過ぎにはお腹が空いて目が覚めボーっとしていると周りが明るくなり始めたので、適当に身の回りを整えいつものサバヒーのお店にいそいそと出かけて行くと、お店の中からいつものお姉さんが「おかえりー!」と言って抱きつかんばかりのニコニコ顔で現れました。



相変わらず日本語はとてもこなれていてかつ聞き取りやすく文法も僕たちよりはよほどしっかりしているような感じがいたしますし、関西のおっさんよりはずっと品のある口調です。(僕との比較ですが)。そういえば昨夜の夜市でも紅茶を売るお姉さんは日本人と見ると素晴らしい笑顔できれいな日本語で話かけてくれますしそれに中国語で応対すると大はしゃぎしてましたね。でも本当は生まれも育ちも台湾の方は、正確な発音の中国語はかえって聞き取りにくいのは僕は知ってますが。

さらに今回感心したのは飛行機の中でも結構周りはアジアからの人たちが多いのですが、みんな途中バードストライクだと思いますが(エンジンが片方不調のような感じ)那覇空港に緊急着陸し、別途大阪から追いかけて来る機体に乗り換えるのに数時間待ちくたびれた中でも不平を言う人もなく、特に韓国人らしい若者のグループはとても礼儀正しく、テレビで見るような日本の国旗を引き裂いたり安倍首相の写真に生卵を投げつけたりするような国の人たちとはとても思えません。きっとあれはごく一部の人たちをカメラ目線で報じているのか、どうせ日本のメディアのやる事だからギャラを払ってやってもらっているんとちゃうかと思いました。

夕刻には、地元でも有名な海老ご飯を食べに行こうと6時過ぎると込み合いそうなのでちょっと早いけど5時には部屋を出て、台南市の背骨ともいえるにぎやかな海安路(haianlu)をぶらぶらと向かいましたが、まだお客さんはまばらで席をとってゆっくりとできました。お隣さんがおいしそうに空心菜らしい炒め物を食べていたので、僕も食べたくなって得意の「那位吃一样的」(お隣さんのと同じものを」とお姉さんに注文しました。
エビの出汁の利いたややねっちょりしたご飯に小エビを炒めたものが何ともいい味をだしていますね。さらに別注の空心菜はニンニクが隠し味的に効いていて歯ごたえも良く、とても参考になる味を楽しみました。ちなみに上に乗ってる黄色いのはパイナップルではなく言うまでもなくタクアンです。



国華街(guohuajie)をぶらぶら、ややまだお腹に余裕があり以前から気になっていた康楽(genruo)市場を覗きに入り、すぐ入り口付近になんともレトロなお店を発見しました。以前何かで読んだ田鰻を食べさせるお店のようです。田鰻(たうなぎ)とは日本統治時代、現地に暮らした日本人は台湾にはウナギがありませんでした、というか食べる習慣がなかったというか料理方法もなかったので、やむなくウナギに似た一種のドジョウのような小魚ですね、こいつを味わっていたそうです。さっそく僕も乾麺と絡めたおいしそうな料理をメニューから探し出し一皿頼むことにしました。


いやー、何とも甘辛く懐かしい味に思わず涙が出そうになり一口一口ふーふーと味わいながらいただきました。田鰻はやはりウナギとはとても似つかない味ですが、姿は何となく小さなウナギに似てないこともありません。これを本物のウナギと思ってやや硬いのをを我慢して味わっていた百年くらい前の当時の日本人たちの望郷の思いを噛みしめながら僕も味わいました。
お店の中で一生懸命働いているのはこれまた80歳をゆうに超えようとするレトロなおばあちゃんで、当然僕がテーブルに掛けるなり日本人だと見破られ、「为什么您觉得我是日本人?」(なぜ日本人だと分かりましたか)お聞きしますと、「何となく」と彼女は宣いましたが、後でよく考えれみると、こんな微妙な表現をパッとできる外国人に僕は会ったことがありません。暖かーいムードがお店の中に充満していたのは言うまでもありません。








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