「和式リベラル」と「米式リベラル」

安倍晋三首相は以前のご自身の著書の中で『「リベラル」いう言葉は、ヨーロッパとアメリカでは受け取り方が大きく違う。ヨーロッパでは王権に対して、市民が血を流しながら自由の権利を獲得し、民主主義の制度を作り上げてきた歴史を持つことから同じ「リベラル」でも他者の介入を許さないという「個人主義」に近い意味合いで使われる。 これに対して、アメリカにおける「リベラル」は社会的平等や公正の実現には政府が積極的に介入すべきであると考える、いわゆる「大きな政府」を支持する立場だ。』との見解を述べています。

提供:内閣広報室
その上で、いわゆる「和式リベラル」は日本の全ての大手メディアに見られるような、インテリ風で正しくてかっこいいようなイメージがありますね。実は僕も高校生の時にはこれにコロッとやられて、「学徒不戦の集い」のようなものに参加したりして、文化祭では米空母エンタープライズの大きな模型を段ボールでこしらえて最後は火をつけて石川に流したりしていました。16歳の純粋な僕がコロッとやられたのは、本田勝一氏の「中国の旅」や「南京への道」あるいは奥崎謙三氏の「ヤマザキ、天皇を撃て」や堀田善衛氏の「方丈記私記」、フランクルの「夜と霧」等の数々の読書と日教組の教員でありました。これにやられると懸命にスポーツに打ち込む友人がまるで問題意識の欠落した間抜けのように見えてくるという症状が出始め、最終的には反体制でなければバカ扱いという考え方に発展し自分の考えはすべて正しくて人の意見はレベルが低くて聞く必要がない、という態度になってきますね。
幸い僕はみっちり受験勉強をしているうちにこの病状から徐々に回復し始め、学生時代には色んな友人と出会ったり、アルバイトのリーダー的存在になったりして社会の中で生きてゆく勉強をさせてもらい、頂いたバイト代や賞金で長い旅行に出たりいい本に出会ったりして、完全に「和式リベラル」から決別が出来ました。閑話休題。

今回の米国次期大統領に決まったドナルドトランプ氏に選挙期間中、痛烈なバッシングを浴びせたワシントンポストやニューヨークタイムズは彼の違法でも無い税金対策をあたかも巨悪のように報じ、イスラム教徒やベテランズ(退役軍人)を担ぎ出しての言いがかりを過剰に飾り付け、挙句の果てにはトランプ氏にセクシャルハラスメントを受けたと自己申告する女性まで登場させて茶番をやっていましたね。そして日米共に「過激」とか「暴言」とかのレッテルを張り、どこが過激かと思って彼のtweetを読みよくよく考えてみると、キャンペーン中である事を差し引くとごく当たり前のことを言ってるだけだと心底思いました。
すなわちメディアが作り上げた、いわゆるPC(political correctness)の偽物ぶりにノーを突き付け、インテリ顔したEstablishment「米式リベラル」が社会の不平等をいつまでも放置し、公正がいつまでたっても実現しない事にもう我慢がならない多くの米国民、
マイノリティも含めて支持されたのでしょうね。大きなパラダイムの変化を感じるのは僕だけではないのかもしれません。

ちょっと飛躍しすぎてますが、今の米国は「和式リベラル」の呪縛からのがれた40年前の僕のようだと思いました。CNNやNBCはトランプタワーに入って来るな、と言ってたトランプ氏が印象的でしたね。要は長い選挙運動中の彼の敵は、米民主党とメディアであった訳です。

更に飛躍しますが、和式あるいは米式を問わず、「リベラル」なメディアの好きな言葉でコロッとやられる単語に、以前は、人権(human rights)、権利(rights)、環境(environment)、市民(citizen)等が多く、
最近ではXXファースト、XX劇場、オールXX、レガシー等枚挙にいとまはありませんが、この言葉が出るとその正当性に異議をはさむものは「過激」でありその異議は自動的に「暴言」となります。まさに自分の意見だけが正しくて、「過激」な意見は聞く必要がないのでしょうね。

さて、1兆ドルのインフラ投資、法人税率の引き下げを含む大幅減税、金融規制の大幅緩和等の経済対策が見込まれ、オバマさんの時代のFRB議長イエレンさんはクビにし、ヒラリーは豚箱行きだ〜と言ってましたがどこまでマーケットは真に受けたのでしょうか、ダウは連日史上最高値更新、また米国債の金利は急上昇、それに伴い日米金利差が日銀の指値オペもあって更に拡大して円安が進み日経平均も急上昇していますね。
おまけに直近でゴールデンクロスしていますし出来高も大商いレベルに近づいています。
ひょっとして、マーケットもパラダイムの変化を織り込み始めているのでは、との見方も出来ないことは無いですね。ここでもし12月にイエレンさんの最後っ屁でテイパリングが実施され、もし広域暴力団プーチン組長が北方領土問題で、ある程度譲歩したりしたらとりあえず日経平均は二万円前後まで上昇、我が家には明るいお正月が訪れ可愛い息子夫婦たちや孫達にひとりあたま十万円の特別お年玉を支給してあげましょう。

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