2018年読んで良かったベスト10(書評)


①本当の憲法 篠田英朗
戦後レジュームの総決算というフレーズで第一次安倍政権はスタートしましたが、やはり東京裁判史観の見直しを図ろうとしたことであっと言う間に潰されてしまいました。僕も法律家の端くれのそのまた端くれですが、思い出すのは法学部の一年生の時、何度か日本国憲法の講義を聞きに行って正直アホらしくなって教室を出てゆきました。今の司法や弁護士たちの多くが言ってることがオカシイ理由はそこにあり、それらを育てた法学部の教授の殆どはやっぱりその当時僕が睨んだとおり、頭がおかしい人が多いという学術的な背景がこの本を読んでよくわかり安心致しました。

②プライマリーバランス亡国論 藤井聡
第二次安倍政権が2012年スタートし先ず取り組んだのが、デフレ経済からの脱却でした、1990年台から始まった日銀の金融政策や政府の財政政策の誤りによって、日本の経済成長は大幅にブレーキが掛かるどころか大きく縮小し、大学生の就職地獄や年間3万人以上の自殺者を発生させました。デフレや極端な円高が発生して例えて言えば末期の糖尿病になっているのに緊縮財政という誤った処方で危うく死に至る病から救ったのがリフレ政策でした。しかし今なおプライマリーバランスだとか財政規律だとかいう、一種の亡国論が幅をきかせ続けている現実があって、それが来年の消費増税につながっています。

③政権奪取論 橋下徹
あらら、橋下さんも民間に戻ってしまって過つての輝きを失ってしまいました。本人が一番嫌っていたいわゆるテレビのコメンテーターのような、何の責任も持たない気楽な小銭稼ぎになってしまったようです。松井さんには残念ながら今後ますます負担が増えてゆくでしょう。

④不倫 中野信子
不倫は元来人類がその子孫を安全かつ継続的に残してゆかなければならない責任から本能的に備わった知恵なのでしょう。
その本能のままに正直に生きた二人を面白おかしく、場合によっては犯罪者のように貶める風潮はいかがなものなのでしょうか。全く思ってもみなかった視点から認知神経科学者が解き明かす不倫論、とっても勉強になりました。
ちなみに不倫そのものは違法性がありませんが、発覚した際その配偶者から不倫相手に対し民法709条の不法行為による損害賠償請求が民事上発生することが一般的です、更にお互いが既婚者であった場合は被害者が二人となって損害賠償の相打ちになりますね。

⑤コミンテルンの謀略と日本の敗戦 江崎道郎
現在米国の保守派の中には先の大東亜戦争の見直しという大きな流れがあります。いわゆるヴェノナ文書の公開によって当時の民主党ルーズベルト政権の中にソ連のスパイがうようよと巣食っていて、日米を戦わせる事によって民主主義体制を崩壊させ、共産主義を世界に広めようとしたコミンテルンの活動が明るみに出ました。そして大切な事は今でも同じような手法で、米国や日本などの民主主義国家を内側から破壊しようとする勢力があるということです。芸能人、学者、スポーツ選手、テレビのコメンテイター、新聞記者、国会議員の中にそれこそうようよと紛れ込んでいて教育界から世論まで操作しようとしています。モリカケとかロシア疑惑とかはその代表的な騒動ですね。

⑥かわいそうな歴史の国の中国人 宮脇淳子
シルクロード好きに始まって、二十年間以上中国大陸には数十回のべ半年以上滞在しました。その経験の中からずっと「なぜ中国人はこうなんだろう?」という疑問について、
丁寧に取り上げられており著者の中国に対する理解の深さが感じられます。
更にこれらの疑問は当事者の中国人でも意識していないケースが殆どで、僕も中国人達に直接疑問点を投げかけたましたが、本人たちは疑問に思うこと自体ありませんね。

⑦安倍晋三の真実 谷口俊彦
著者は内閣官房参与であって、安倍総理のスピーチライターとして有名です。その側近中の側近のみが知りうる機密情報が満載で、独特の価値を放っています。
一昨年の米国議会での演説、特に硫黄島の英雄の子孫を招いての盛り上げ方など何度もスタンディングオベーションを受けたことも印象的でしたね。

⑧あの日 小保方晴子
先日ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑、京都大特別教授の「(科学誌の)ネイチャーやサイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割」という言葉が、僕の頭の中でやっぱりそういうものなのか、と理解しました。科学の最先端分野は、おそらく真っ暗闇の中森の中を探検するようなもので、10年経って月明かりが出てきて初めてその一部がわかりはじめ、さらに何十年も何百年も経ってから仮説から定説に変わってゆくのでしょう。人間の細胞を未分化の状態、エピジェネティクの鍵を外すのに単に弱酸性の液体による刺激に注目した彼女の着想は、再現性がないとか論文の引用に一部コピペがあるのでは、とか一度も世の中から注目される論文を書いたことのない学者やましてやコメンテイター達に理解できるはずもなく、毎日新聞を始めとする悪意のあるマスコミのパッシングを受けます。
本来責任指導教官だった若山氏は無給の研究員だった彼女をほっぽり出して途中で逃げ出し、更にNHKの暴力的な取材、卑劣な個人メールの暴露によって30代で京大教授となった優秀な頭脳の笹井さんまで自殺に追い込んだ真相が生々と語られています。

⑨日本国紀 百田直樹
帯から引用「2000年以上にわたる国民の歴史と激動にみちた国家の変遷を一本の線でつないだ、壮大なる叙事詩である!」著者は歴史の教科書に常々疑問を持っていた、そうしていつか自身の歴史教科書を書いてみようと思っていたそうです。
第一章の「古代~大和政権誕生」から始まり著者の本当に書きたかった部分は第十二章の「敗戦と占領」、第十三章の「日本の復興」それに終章の「平成」です。
戦争に一度負けただけで、なぜ伝統や日本の誇りを否定されそして安全保障までも自前で出来ないのか、その辺りの独特な語り口が500ページを超える一冊を一気に読み終えさせます。

⑩僕らの死生観 青山繁晴
1945年3月から4月にかけて壮絶な日米の攻防戦が行われた硫黄島では、日本軍は18000人近くの戦死者を出し当時はすでに正規の兵もいなくなって、ほとんどが一般人となって屈強の米軍の本土爆撃を少しでも遅らせるために、灼熱の坑道のなかを素手で掘り進み、弾だけでなく、薬も食料も水もない中、米軍の作戦書では5日で占領のところ30日以上も屈強な海兵隊員と戦った英霊が主題となっています。今なお11000柱が島のいたるところに取り残され故郷に帰ることもなく静かに眠っています。


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