新向南政策

台湾はこの春から蔡英文政権に切り替わり、いわゆる一辺一国(yibian yiguo)政策が明確となり、ますます一般の台湾国民にとってはナショナリズムが高まってきているように見えます。


しかし春以降の中国大陸からの台湾への観光客は前年30%以上の減少、あるいは業種によっては半分以下になっている状況に対し、先日台北の中心街で土産物業者や飲食業を営む人たちによるデモが行われました。
蔡英文政権は大陸からの観光客を呼び戻せ、という主張です。関係する業界の人たちにとっては死活問題かもしれませんね。
特に台湾には至る所に夜市があり、夜市とはいうものの昼間からやってるところもあって僕の大好きな中山北路の雙城街夜市等はおそらく24時間、2交代制で朝はビジネスマンの朝食、昼も近くのオフィスの勤め人や観光客でごった返していますね。勿論夜も美味しそうな匂いが充満しています。ほんとに安くて美味ですし、目の前で手際よく調理してくれるので安心でその上よく見ていると作り方もある程度解析できますね。実は僕のB級グルメの原点がここにあるといっても過言ではありません。


さはさりながら、一般の台湾の人たちや学生たちに聞いてみるとやはり思っていたとおりの答えが返ってきます。
中国大陸からの観光客はマナーがとても悪く、爆買の後はドタキャン(日本でもやられそうですね)
寺院や博物館の中では子どもたちが大声で走り回り(親の躾がなってない)
挙句の果てには国父紀念館(孫文ですよ!)の前で立ち小便(トレビの泉でもそんな話がありましたね)
むしろ少なくなって、ほっとしているとの事でした。そういえばこれは別の事情ですがテロに襲われたパリでも中国人団体客がめっきり減ってパリも以前のように静かになってよかったそうです。なんとも皮肉な話ですね。
その上で、台湾の観光業界や飲食業界のGDPに占める経済規模は数パーセントに過ぎずデモを実施するグループの言い分も判らないでもないが、やはり彼らは自助努力をすべきなのでしょうか?

こちら側は自由民主主義、あちら側は社会主義いくら観光客を戻してくれと頼んでもそれは無理な相談であり、むしろあちら側の主張する一个中国(yige zhongguo)に飲み込まれない限り問題は解決しないのでしょうか?

そこのところに今新たな時代を迎えた台湾が抱える苦悩があり、ある意味生みの苦しみがあるのでしょう。
当然新政権もただ無策ではありません。新政権は東南アジアやインドとの関係を深める「新南向政策」を推進しています。投資や貿易面での関係だけでなく、民間交流・文化・教育など多面的なパートナー関係の構築を目指しているそうです。


そういえば、仕事を終えたタクシーの運転手さんや観光ガイドさんたちはタイ語やインドネシア語を積極的に習い始めている様子を目にする事があります。
我が国日本からの観光客も以前からかなりのボリュームですし、何より台湾は日本の弟のような国です。事実台湾人の我が国への好感度はASEANの中でも抜きん出ていますし、行きたい国「日本」はダントツで一位だそうです。ちなみに日本56%、二位以下は中国6%、米国5%、シンガポール2%という最近の調査結果が出ています。

僕は来月また一週間ほど台北、花蓮、嘉義、台南をグルメ修行に出掛けますが、費用は宿泊費や交通費を入れてもLCCのおかげで数万円程度です。
ぜひ夜市でたくさん飲んで食べて、怪しいお土産いっぱい買って、歩きまわって彼らの売上に貢献して来たいと思います。

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