無罪の推定


メディアなどではよく推定無罪という表現が使用されますが、法学上の本来の用語では無罪の推定(presumption of innocence)といい、主に刑事事案では検察官によって起訴された容疑者は私人であって起訴する方は国家権力であり立場の強弱があるため、「疑わしきは罰せず」という事になっています。しかもいわゆる蓋然性の形成だけでは不足であって、疑いのない証拠による立証が求められます。

ところで最近話題になっている日米での事案すなわち加計学園の件、ロシア疑惑の件には共通点がありそうなのでちょっとだけ触れてみたいと思います。

  1. 内部情報のメディアへのリークから始まること
  2. 疑いの余地のない証拠がなく推定の域で話が進んでいること
  3. プライオリティの高い案件よりも騒ぎが大きくなっていること
  4. 追求仕切れない事案は食い散らかして他に迷惑を及ぼすか風評被害をももたらすこと
  5. メディアによる「為の議論」の域を出ていないこと
などがざっと挙げられますが順に分かりやすく解説してゆきましょう。

  1. 文科省の内部メモを私怨から外部にリークしょうとしたがあまりにリテラシーが乏しいのでほとんどのメディアが取り上げなかったにも関わらす一部のマスコミと野党とによって騒ぎになっています。一方大統領との会話のメモ(機密扱いとなる可能性が高い)を友人を通じてリーク。いうまでも文春とニューヨークタイムス、そして民進党と民主党
  2. 江田憲司民進党代表代行はその発言の中で何度も官邸の関与が推定されるというニュアンスを述べています、またトラ大統領への捜査妨害疑惑についても米民主党はコミー前FBI長官の議会証言後その意図が推定されるとコメントしています。いずれも出て来るエビデンスは証拠能力の乏しいものばかりで、仮にそれがすべて事実としてもどこに違法性があるのか、「I hope you can see your way clear to letting this go, to letting Flynn go.」と発言して脅迫や妨害として刑事事件の構成要件にあたるのか、です。
  3. 待機児童問題、教育の無償化、朝鮮半島問題や共謀罪を含むTOC条約への加盟問題などの多くの国民にとってプライオリティが高い問題の議論が殆ど深められず、森友の次は加計。一方概ね重要な政策に就いては選挙で決着がつくもIS掃討、中東政策、朝鮮半島問題よりもロリア疑惑でこちらももちきり。
  4. あれだけ連日大騒ぎをした森友は追及しきれず、幼稚園には致命的な傷が、更に加計はそれ以上にお粗末な内容になりそう。一方ロシアへの機密事項漏洩問題は当のプーチン大統領から「ラブロフ外相がトラ大統領から機密事項を聞いていたなら、彼をその機密事項を教えてくれなかった事で譴責処分にしなければなりませんなあ」と揶揄されソチの会見場が大笑いになっておしまい。結局サード・パーティルールによって政権の威信に傷が残っただけ。
  5. メディアの役割は時の政権の監視とチェックなどという名目でただ単に批判するだけ、足を引っ張りたいだけ、場合によってはフェイクニュースで国民の不安を煽るだけの日本、選挙キャンペーン中から徹底的に叩き続けたトラ大統領にフェイクニュースと言われ、記者会見にも入れてもらえず死活問題の米大手メディア。特に酷いのは、Watergare事件に印象誘導を狙ったRussiangateとの表現ですね、gateには疑惑だとか事件の意味は勿論ありません。単なる固有名詞です。

今回は法の概念から少し考え始めましたが、大手メディアや野党は無罪推定という考え方が何のためにあって、単なる冤罪を避けるためだけに議論されてきたものではない事をよく考えていただきたいと思います。

(法哲学ゼミ・法学士)



コメント

  1. 私が思うに、いつの時代も権力者は足を引っ張られるリスクがあり、法的問題というより、妬みやっかみの類いが原因のように思います。
    見当違いのコメントお許しくださいm(__)m

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    1. かって社会保険庁も改革のメスが入った際に内情の暴露があってそれに食いついたのが長妻さんでしたね。今回も最後っ屁という同じ構図ですね。

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    2. そうですね。いったい何が国や国民にとってプラスとなるか、客観的に考えることが大切やと思いますが・・・

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